兄弟喧嘩を観察することで見えてくる、怒りと我慢する心理

兄弟喧嘩を観察することで見えてくる、怒りと我慢する心理

こんにちは!

兄弟喧嘩…それは予期せぬタイミングで場所を選ばず突然はじまり、あれよあれよとヒートアップ!

ああ、今日は平和に過ごせていたのになぁ…なんてトホホなお母さんも多いのではないかと思います。

今回は、子どもの「兄弟喧嘩」について、公認心理士の先生にお話を伺いました。

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こんにちは。私は公認心理師の田中と申します。 

今回は、相談を受けることが多いお悩みのひとつ「兄弟喧嘩」について、皆さんと一緒に考えていけたらと思っています。 

 

兄弟喧嘩は止めたがいいの?

親は仲裁せずにそのまま喧嘩させたがいいの?

特に手や足が出たり、どちらかが怪我をしそうになったり、人目も気にせず大声で罵倒しあったり…親としても様々な葛藤がある兄弟喧嘩。 

その喧嘩について、心理的な側面も交えながらから考えていきましょう。 

 

外では良い子?

家の外での友達には優しいけど、兄弟にだけ厳しい。保育園の様子と家庭の様子が違う!そのように思われている保護者の方も多いと思います。ではなぜ、兄弟や家族に強くあたってしまうのでしょう。 

兄弟同士が喧嘩をするのは、心理的な距離感が近いことも要因の一つとして考えられています。

子どもも外では、特に意識せずとも緊張感を持って行動するケースも多くあります。そのため、外で受けたストレスなどの反動で家での態度が違うことや、親や兄弟に当たってしまうケースもあり、また家をリラックスできる空間と認識しているため、相手への遠慮がなくなってしまいがちなのです。

つまり家族や兄弟とは距離感が近いこと、気を許している存在だからこそ、思っていることや不満を素直にぶつけられる、ということが兄弟喧嘩の要因になりえるのです。 

 

年齢別の脳の機能と心理 

2~3歳の子どもは、自分の衝動を抑えることができない月齢になります。 

その理由の一つは脳の表層にある「前頭前野」と呼ばれる部分が、まだ機能し始めていないためと言われています。 

前頭前野とは、衝動的な欲求を抑える脳機能の中枢であると言われており、我々の理性となる部分です。この部分が未発達であれば、本能的な欲求を抑えることができないのは当然かもしれません。 

この時期の子どもは人との関わり方自体が難しく、感情的になりやすい時期でもあることや、発達として自己中心的な気持ちしか備わっていないケースもあり、ちょっとしたことでも、叩く、蹴る、噛みつく、引っ掻く、突き飛ばす…などの行為をすることも多く見られます。

 

子どもが4~6歳になると脳の機能が発達し、ある程度自分をコントロールできるようになってきますまた感情発達が起こる時期とも言われており、他者の感情を理解できるようになること自分の感情を調整できるようになるとも言われています 

 

ある研究では… 

3、4歳の女児20名を対象に、他者から期待はずれのプレゼントをもらったときに、どのような表情や言葉を示すのかを観察した研究があります。

ひとりでプレゼントの包装を開ける場合は、幼児はがっかりした表情を示すことが多かったとのことでした。

しかしながら、プレゼントを渡した人がいる前でプレゼントの包装を開ける場合、3歳児はがっかりした表情を表すのに対して、4歳児はがっかりしたのを隠して微笑み、「ありがとう」とお礼を言うことがあったとの研究があります

個人差は大きいものの、4歳頃から徐々に、他人の気持ちを汲み、自分の感情を調整するようになる傾向があることが、この研究からも言えるかもしれませんね。 

 

喧嘩は悪いことだけではない? 

では、兄弟喧嘩は悪い事ばかりなのでしょうか? 

兄弟喧嘩のメリットの一つ、「自分の視点だけでなく、相手の視点から考える力が育つ」と言われています。 

4歳前後になると、他者の気持ちを理解する心の成長がはじまり他者視点)、兄弟喧嘩を通して、相手の気持ちになってものごとを考えられるようになっていくとも言われています。 

 

事例紹介① 3歳男の子と5歳男の子

2つ差の男の子の2人兄弟。些細なことで喧嘩になり、本当に毎日喧嘩をしている。下の子は自分の思い通りにならないと、癇癪を起こし、泣きわめく子どもであった。 

 

保護者の対応としても、泣き叫んでいるから…と、どうしても上の子を怒ってしまうという事例でした。下の子は「泣いたり、怒ったりすることで思い通りにならないことが解決できる」と、誤った学習をしてしまっていたようです。 

保護者の方には、感情のコーチングを行いながら家族教育を実施した事例でした。 

 

感情のコーチングとは?

怒り・泣く等のネガティブな感情の表出を頭ごなしに抑制するのではなく、幼児の気持ちを認めた上で、「泣き」「怒り」を表出しなくても、言葉や行動で解決できることを教え事も重要とされており、感情のコーチングと言われています。

幼児は自分の感情に向き合い、それを適切に調整し、直面している問題を解決できるようになる。そして、いずれは、保育者の手助けがなくても、幼児自身で感情調整ができるようになっていく、とされています。 

 

事例紹介② 5歳男の子と8歳女の子 

いつも二人で競い合い、些細な事で喧嘩をしている と相談。 

話をよ聞いてみると、「お姉ちゃんは早く食べれるよね。」「まだ準備してないの?もうお姉ちゃんと先に出かけちゃうからね。」など、保護者自身が二人を競わせるような言動をとっている事も一因として挙げられました。 

「競争で勝った方だけ褒めてもらえる?」と子ども自身が誤った学習をしている可能性もありました。日頃から常に競争させられ、勝った方だけが大人から褒めてもらえる環境にいる事で、必然的に日常生活においても競い合うようになってしまっていた、との事例です。保護者の方には、競争を促すような声かけは少し控えていただくようにアドバイスをしました。

 

︎まとめ 

今回は兄弟喧嘩についてのお話でした。前述したように、喧嘩は悪い事ばかりではありませんし、ある種発達の為には必要な事でもあると思います。 

脳の発達や、心理的な成長など、月齢によっても保護者として対応を変えていく必要はあるかもしれませんし、自身の生活や言動見直したりする事も喧嘩を考えていく上では良いことかもしれませんね。 

 家族だからこそ、遠慮せずに本音を言えるが故の喧嘩、ということもありますので、まずはどうして怒っているのか、泣いているのか、子ども同士でも、相手の感情を理解するような働きかけをしてみることも大切だと思います。

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先生、貴重なお話ありがとうございました!