お金のかからない『遊び』に着目した学習法 〜自由保育の観点から〜
子どもたちは、普段の生活から、
たくさんの学びを得ているため、
こどもの思考力を伸ばす教材は、
身近に多く存在します。
例えば…
容量、形が異なる空きペットボトルは、
パッケージをはがすことで、
横から中身を確認できるため、
知育教材として、最適です。
市販の透明カップでもよいでしょう。
コップ、ペットボトルにいれた水を、
形や容量の違うコップや、
空きペットボトルに移しかえてみます。
同じ容量でも、
コップの形が違うと、
見え方は、どうなるのか…
幼児期に、見たり聞いたりしたこと、
または、経験や体験したことは、
将来の学びの種となり、
主に、理系学問に興味を持つきっかけを、
お子様に与えてくれます。
他にも、
園や公園で行われる、
遊びの代表格→砂遊びにおいてもそうです。
バケツの中に、水を張り、
その中に、どんどん石を入れていきます。
バケツの中の水は、
石の数が増えれば増えるほど、
増していきますね。
今度は、中に入れ込んだ石を
全て、取り出しますと…
水の量は、元に戻ります。
では、石ではなく、氷を入れていくと、
どうなるのでしょうか。
お出かけ外食のときなどに、
お水が配られてくると思います。
外食をされない方は、自宅で、
おやつの時間や御飯の時間に、
お茶を入れたカップを用意して、
お茶の中に氷を入れることで、
お茶の量はどうなるのか、
また、お茶の中の氷が全部溶けた時、
お茶の量は、どう変化するのか
お子様といっしょに
確認してみてください。
確認する前の子どもたちに、
『お茶の中の氷が溶けると、
お茶の量は、氷を入れる前と比べて
どうかわるのか?』と問うと、
『前のお茶の量に戻る。
氷は溶けると0になり、消えてなくなる』
と答えるお子様が非常に多く、
幼児期には、このような小さな誤解を、
遊びや生活経験を通した実験により、
一つ一つ訂正していくことが、
将来の揺るぎない学力へと
つながるのではないかと考えられます。
体積の単元を、
机上ではじめて学ぶより、
幼児期に遊びや実体験を通して
経験していた方が、
理解が深まることは、言うまでもありません。
そして、その理解を深めるために、
もう一つ、忘れてはならない
大切なことがあります。
このような家庭での生活実験を、
子どもたちの記憶に残していくために、
必要不可欠なこと…
それは、
保護者の方の関わり、
そして言葉かけです。
『水を入れたバケツに石をたくさんいれたとき、
中の水の量は、石を入れる前に比べて
どうなった?』
『水を入れたバケツから、石を全部取り出した時、中の水の量はどう変わった?』
『お茶に氷を入れたら、お茶の量は、
氷を入れる前に比べてどうなった?』
『お茶に入れた氷が溶けた後、
お茶の量は、氷を入れる前と比べて、
どうなった?』
などなど…
多くの問いかけを行ってください。
もちろん、ペットボトルの問題が、
そのままテスト問題として、
出題されるということではなく、
形を変えて出てきます。
他にも、苦手と感じるお子様が多い
展開図についてですが、
円柱の形を、
いろんな方向からカットして、
その断面図をえらぶという問題で、
中学受験問題でも、
とても良くお見かけします。
このような図形の問題が出ても、
積極的に取り組めるように、
幼い頃からの取り組みは、とても大切です。
ご家庭においても、
キッチンペーパーなどの芯を、
たてにカットしてみたり、
横にカットしてみたり…
いろんな方向から切って、
切り口がどのような形となるのか、
確認してみたり...
リサイクルのお手伝いとして、
空き箱や牛乳パックを開いてみたり…
お子様だけを1人で遊ばせるだけでは、
印象にのこりませんので、
保護者の方が、一緒に取り組みながら、
語りかけることが大切です。
結果や答えを教えるのではなく、
お子様が、自ら考えて
答えにたどりつけるように、
言葉で促します。
『この箱を、ひらいたら
どんな形になったかな?』
『テープを貼って、
元の形にもどせるかな?』
などと、
子どもの遊び+保護者の語りかけ で、
さらに、記憶に残る印象付けを
行うことができるようになります。
保育園や幼稚園で行われる
空き箱制作についても、そうです。
色んなものを切って貼り付けて、
子どもたちは、自分の好きなものを
作り上げていきます。
その過程には、小学校以降に学ぶ学問の基礎が
詰まっているのです。
保護者の方が用意できるものもあります。
例えば、カマボコを、
縦、横、斜めにカットしたもの、
ロールケーキを、縦、横、斜めに切ったもの
ちょっと長めのお皿は必要になってきますが、
いろんな角度から切ったものを、
お子様の目の前に出してみるなどの、
ちょっとした取り組みが、
お子様の小学生以降の
学問に対する理解のしやすさに
繋がるのではないかと感じます。
また、
比較を意識できるような声かけも、
お子様の知識を深めることができます。
例えば、
『朝の登園時と降園時、それぞれに、
自分の影がどの様に変化しているのか』
『日陰、日なたには、それぞれ、
どのような植物が育っているのか』
『コップの水は、吸収されないが、
砂場の水は、土に吸収されるのは
なぜなのか』
当たり前だと思っていることも、
思いついたら、どんどん聞いてみます。
『どうして物は、上から下に落ちるのか』
『雨が降って出来た水たまりの水は、
晴れた次の日に、なぜ、消えてなくなるのか、
水たまりの水は、どこにいったのか』
このように、
保護者の方が、普段の生活の中で、
気がついたこと、思いついた事を、
聞いてみることで、
お子様の思考は、
さらに深まっていくと考えています。
幼稚園、保育園で、多くの自由遊びの時間が
取り入れられているのは、
子どもの社会性やコミュニケーション、自発性、創造性を育てるだけが理由ではなく、
『乳幼児期の遊び』というものが、
総合的な学びの原点となるから』です。
子どもたちにとって、
『遊びは、学び』
自由な環境の中で、
自発的に取り組める遊びこそ、
『最高の知育』です。
保護者の方が、見守る中、
安全には十分配慮していただきながら、
お子様と一緒に、
お金のかからない知育家庭教育に、
取り組んでみてくださいね。
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by 梅本のん